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EU加盟へのなが~い道のり まずは第一歩

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(以下、ボスニア)は12月4日、EUと安定化・連合協定(SAA)の仮調印にこぎつけた。

ボスニアが望むEU加盟へのまず第一歩を踏み出した。

翌日の新聞各紙↓
RIMG0803.jpg



以下は私の覚書で堅い話が続きます。

10月末から政局はかなり混迷していた。
それはOHR(上級代表事務所。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの和平履行を監視する国際機関) の上級代表ライチャック氏が発表した、ボスニア議会と閣僚評議会(内閣に当たる)の意思決定方法に関する法律の改正案に端を発する。
12月1日までにボスニア議会でこの案に関する決定がなされなければ、OHRはこの案を強制的に発効させるというものだった。

ボスニアのセルビア人を代表している(と考えている)政治家はこれに反発した。
小難しくなるので詳しい内容は書かないが、簡単に言うと
定足数と意思決定方法に関するところで、議会に来ないことで表決を妨害するという手段をとりうる可能性があったため、これを改正しようというのが上級代表の狙いだったのだ。

これを受けて、閣僚評議会の長(首相に当たる)であるシュピリッチ氏が抗議の意味で辞任した。
これで政府は事実上機能をストップした。
新聞はこの一連の混乱を「(ボスニア)戦後最大の危機」と書きたてた。

与党各党の代表がOHRを含め何度も会合を開いて、議会でも話し合いがもたれたが合意に至りそうな雰囲気は無し。

11月30日金曜日、期日。
議会はなんとか合意にこぎつけた。


12月始め、EU委員会の拡大担当委員のレーン氏がボスニアへやってきた。
3日夜、あるニュースが流れる。
「明日、ボスニアとEU間でSAA仮調印!」


12月4日、仮調印の式典がサラエボで開かれる。
EU共通外交・安全保障政策特別代表のソラナ氏、EU議長国ポルトガルの外相アマド氏も出席する予定だったのが、天候の影響でサラエボに来られず。
2人の到着を待つため、式典開始時刻は当初の11時半から15時に遅らされる。
しかし結局、この2人はクロアチアのスプリットの空港で足止めをくらったまま、この日サラエボに降り立つことができなかったのであった。

15時に式典は始まり、テレビでも中継される。
EU側のレーン氏とボスニア・ヘルツェゴヴィナ側のシュピリッチ氏(辞任したが、新しい閣僚評議会が発足するまでは技術的任務を遂行することになっている)が署名。
ボスニア大統領評議会メンバー3人、シュピリッチ氏、ライチャック氏、レーン氏みんなそろってにこやかに写真撮影。

そしてシュピリッチ、レーン、ライチャック各氏のスピーチ。
私も式典の様子をテレビで見ていた。

レーン氏の英語でのスピーチがなんだかおかしくてたまらなかった。
内容がおかしいとかいうことではもちろんなく、彼の英語の話し方に独特の癖があってtやsで終わる単語の語尾の発音の仕方がなんとも特徴があり、まじめにスピーチをしているのにそればかり気になってしまった。
レーン氏はフィンランド出身だそうで、フィンランド人が英語を話すとああなるんだろうかとふと思ったのである。



どうもEU側としてはSAA仮調印によって政局の混乱を鎮める意図があったのではないか、という見方もある。
このSAA仮調印で、このところ続いてきた政情の不安定・混乱を打開し、将来に向けて発展的な機運をつくっていけるかどうかはこれからのボスニア・ヘルツェゴヴィナの頑張りによるところ。

EUに加盟するにはまだまだなが~い道のりが待っている。
新聞には今後のEU加盟過程として
 2008年春にSAA正式調印
 2010年または2011年に加盟候補国として承認
 ボスニア・ヘルツェゴヴィナのEU加盟交渉開始→2014年EU加盟 

という楽観的なシナリオが書かれていた。
これは言うまでもなく、これからボスニア・ヘルツェゴヴィナがEUから出される課題の数々をこなしていかなければ実現しないこと。

これからまだまだいくつも関所を突破していかなくてはならず、ボスニアはやっとその入り口に立ったというところ。
小さな第一歩だが、ボスニアにとって大事な一歩を踏み出した。

Comment

 

警察の件が決裂した頃から暗雲が立ち込めてましたが、なんというか決して楽観的な意味ではなく、途中から「なんか、もう全部見えちゃっている」感が拭えなかったのも確かです。
確かに政治的な大危機に立たされていたし、茶飲み友達の近所のおばああちゃんも「内戦前と同じような匂いが立ち込めているような気がするよ」と多少不安を口にしていましたが、まあ、お互い最終的な部分まで譲らず、最後の最後でしぶしぶ(?)妥協みたいな。
スルプスカもコソボの影響でボスニアから脱退→セルビアへの統合を主張、なんてニュースもありますし、実際にかなりの署名が集まったなんて事もありましたが、純粋に独立がどうのというより、選挙での票取りの為のパフォーマンスだったりしますしね。
なんていうか、国に対する真剣な姿勢より政治家の自己保身の方があからさまで、その部分に「もう、全部見えちゃっている」的なものを感じたのかもしれません。

EU加盟も、加盟したら加盟したで(確か)ポーランドのように労働力が一気に国外へ流出し国内では人手不足なんて話も聞こえてきますが、ボスニアもEU加盟の暁には人事ではないと思います。今以上に若者を中心とした労働人口が流失すればひいては今でも深刻な国内の出生率に拍車をかけることにも繋がるのではないかと。
EU加盟の条件の為には色々と国内状況にテコ入れしていかないといけないと思いますが、同時に国民がEUと当時に一気に国外に流失するのではなく、「ボスニアに残って働いた方がいい」と思える状況も構築していかなければなりませんよね。

長々と失礼しましたが、数日前に読んだブログでフィンランド人の英語について言及されていました。レーン氏の英語の謎を解く鍵になると思いますので、もし興味がありましたらどうぞ。

http://blog.alc.co.jp/blog/3300965/archive/category/1255





  • posted by Mic'o 
  • URL 
  • 2007.12/10 10:00分 
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  • [Res]

Mic'oさま 

コメントありがとうございます。

おっしゃるとおりで、なんというか、この国の政治家はいかに体面・体裁を保つかという術に長けているなと思います。

与党はみんなそれぞれに民族を支持基盤にしていることもあり、自民族の利益を守るために頑張っているんだという姿勢を見せなければならない。
でもそうすると国家の運営に関する話し合いをしても、互いの主張を曲げない→平行線で合意できない→結局、国際社会・OHRが喝を入れて決定を迫る→自分たちの主張を保ちつつも妥協点を探す→妥協点を見つけるか、決裂したらOHRが強制措置をとる→それぞれの体面はいちおう保たれる

およそそんなサイクルの繰り返しだと思うのです。


RSのドディック氏が一番わかりやすいと思いますが、彼はコソヴォが独立したらRSもボスニアから脱退するなんて以前は発言してましたが、最近はコソヴォとボスニアの問題は別だなんて言っているみたいですね。
警察機構改革問題でも、ドディック氏のおかげで合意にこぎつけたというような発言をライチャック氏は新聞にしていたようで。
RS大統領選はドディック氏のSNSDの候補が勝ちましたし、やっぱり有権者へのパフォーマンスという点では抜きん出ていたのでしょう。

今回の一件で心配になったのは、この混乱に乗じて民族主義を煽り、人々の恐怖心を増幅させるような動きが一部見られたことです。
戦争が起こることはないだろうと信じつつも、こういうできごとがあるとやはり不安になります。


EU加盟、ヨーロッパ統合への仲間入りが声高に叫ばれる中、Mic'oさんのおっしゃるように、加盟して一安心なわけではなく加盟後の問題も想定しておかなくてはいけませんよね。

若者、労働力の国外流出は深刻な問題だと思います。
今でも優秀な人材は欧米諸国に出ていき、自国に将来を見出せないために若者は国を出たがっていますし。
ヘタすると残るのは年金生活者ばかりになって、国家は破綻するかもしれません。

潜在的労働力はあっても仕事が無い。
中には闇で働く人も多い。
そんな現状を改善しないと、ボスニアに明るい未来は見えてきませんね。


ふぅ~、長くなりました。

ブログの紹介、ありがとうございました。
フィンランド人に限らず、日本人が話す英語、フランス人が話す英語、それぞれやはり母国語のアクセントの影響がでるんでしょうね。
私も他人のことは言えません。
日本語訛りのボスニア・セルビア・クロアチア語をしゃべっているのでしょうから。
  • posted by イエティ 
  • URL 
  • 2007.12/10 22:16分 
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Author:イエティ
BiHとはボスニア・ヘルツェゴヴィナ(Bosna i Hercegovina)の略です
日本人にはまだまだなじみのない国、BiHへの観光客が増えるといいなと思いつつ、地味に情報発信中
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