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異床異夢

最近は食べ物ネタが続いていたので今日はちょっと違う話を。

今日、11月25日はボスニア・ヘルツェゴヴィナ(BiH)の一部では「国家の日」という休日になっています。

由来は第2次大戦にまでさかのぼります。
大戦中、ナチス・ドイツを筆頭とするファシズム勢力対ユーゴスラヴィア共産党を中心とした人民解放運動(パルティザン運動)が熾烈な戦いを繰り広げていました。
そんな中、1943年に現在のBiHにあるMrkonjić Grad(ムルコニッチ・グラード)で開かれたボスニア・ヘルツェゴヴィナ人民解放反ファシスト会議で、BiHの人民が(ユーゴスラヴィア連邦内で)自分たちの国を持つことが決定されました。
BiHが国家として再構築され、人民の平等などを謳った近代的なBiH国家の樹立を記念する日として、この日が国家の日とされることになりました。


さて、BiHの複雑な現状が垣間見れるのが祝日・休日。
宗教上の祝祭日を除いて、いくつか祝日があります。
しかし、国内で統一されていません。
年初め(1月1・2日)とメーデー(5月1・2日)は全国共通の祝日。
他は場所によって祝日が異なるんです。

例えば、BiH国内では11月に2つの祝日があります。
11月21日は、1995年に戦争を終結させたデイトン和平合意の記念日。
11月25日は先ほど書いたボスニア・ヘルツェゴヴィナの国家の日。


現在のBiHは1995年のデイトン和平合意に基づいて、エンティティと言われる、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ連邦(FBiH)とスルプスカ共和国(セルビア人共和国:RS)という2つの構成体(プラスどちらにも属さないブルチュコ行政区)から成り立っています。
RSの中心となっているのはセルビア人。
連邦はボシュニャク(ボスニアのムスリムの民族としての名称)とクロアチア人が中心となっています。

11月21日はRSにとって公式の祝日。一方の連邦側では普通の日。
ところが11月25日は連邦では公式の休日。RSでは普通の日。
こんなあべこべなことがこの国ではあるんです。

BiHをどう見るか、こんなところで端的に表れています。
RSの一部の人たち(特にセルビア人の政治家など)は、現在のBiHはデイトン合意によって生み出された新しい国だと考えています。
だからこのデイトン合意の日は大事なんですね。
一方で、主にボシュニャクの政治家たちは、BiHは中世からの歴史を持つ国としてその継続性を主張します。
だから国家の日が重要なのです。


ちなみに、3月1日はボスニア・ヘルツェゴヴィナの独立記念日とされていますが、これも連邦側のみ休日。
これは1992年に国民投票で当時のユーゴスラヴィア社会主義共和国連邦からの独立が決まった日です。
セルビア系住民のほとんどがこの国民投票をボイコットしながらも独立が決まったという所以から、現在RSの中心となっている政治家たちはこの日を認めようとしません。


デイトン合意はRSという存在をBiHの構成するエンティティとして明記していることから、RSの政治家にとってはデイトン合意は守られるべきもの。
RSあってのBiHと考える人たちは、RSの権限を制限しようとする動きには断固反対し、しばしばRSの独立をちらつかせます。
(現在のRSのトップであるドディック首相は、自分にはRSが第1であってBiHという国家に愛着はないと発言しているくらいです!)

一方でボシュニャクの政治家の中にはBiHの中央集権化、エンティティの解体を主張する者もいます。
第3番目の構成民族のクロアチア人は、ボシュニャクとともに連邦の中心となっているものの、自民族の権利がしばしば蔑ろにされているとして、3民族の平等を主張します。

しかもボシュニャク、セルビア人、クロアチア人といっても一枚岩ではありません。
さらにはこの3つの民族に属さない人たちもいます。
色んな主張をする人たちがいる中で、一つの国としての国家運営が容易でないは傍目から見ても明らか。


こんなわけで、国家としてのBiHのこれからのあり方に関する議論(憲法改正)は平行線をたどるばかり。
一国家内で色んな見方が存在するのは当然のことでしょうが、BiHの場合は同床異夢というよりも異床異夢なんじゃないかと思えてきます。
与党各党トップを集めて話し合いをしても前提から考えがバラバラ。
こんな国の状況で何かを決めようとするのはとにかく大変!
時間ばかりが過ぎていきます。

国民からも国際社会からも「もういい加減うんざり・・・」なんて深~い溜め息が聞こえてきそうです。

Comment

ある意味異床同夢かも 

先日の国勢調査に関する各民族の代表者会議でもそうでしたが、民族を問わず、1つの取り決めにしても誰かが必ず反対する、そんな事の繰り返しですね。
「ボスニア・ヘルツェゴビナの為に」と口にしても、それがBiHに存在する民族・宗教が1つになってまとめ上げていく国全体を指しているのかどうかも疑問に感じます。
また、ドディック首相にしても、票集めのパフォーマンスという感じにしか映らず、見るたびにうんざりです。

それぞれの民族(政党)の思惑通りに事を運ぼうという意味では「異床異夢」というのは的をついていると思いますが、結局のところ政治家は国民より自分の利益を優先している、という意味では「異床同夢」なのではないかな、とも思います。(勿論、そんな政治家を代表に選んだのは国民ですが)

  • posted by Mic'o 
  • URL 
  • 2008.11/26 19:20分 
  • [Edit]
  • [Res]

>Mic'oさん へ 

「多民族、多文化国家としてのBiH」ということを口にしながらも、結局は自民族のことしか見えてない政治家もいますね。

BiHのため、国民のためを本当に思っている政治家も中にはいるかもしれませんが・・・。
口先では色々聞こえのいいことを言いながらも結局私腹を肥やすのに熱心な人が多いような。
国民は生活苦で喘いでいるのに、国家公務員や自らの収入を引き上げるような法案を通すのには素早い対応を見せるBiHの政治家たち。
「異床同夢」、、、言われてみるとそうかもしれません。

国民はそんな政治や政治家には辟易してるみたいですが、Mic'oさんのご指摘の通り、そんな国民の代表を選んだのは国民自身ですからね。
権利を主張するばっかりで義務を果すことを忘れている人が多い、責任を他人になすり付ける人ばかり・・・こんな状況じゃ社会が良くなっていくはずがないだろうとよく思います。
  • posted by イエティ 
  • URL 
  • 2008.11/26 22:37分 
  • [Edit]
  • [Res]

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イエティ

Author:イエティ
BiHとはボスニア・ヘルツェゴヴィナ(Bosna i Hercegovina)の略です
日本人にはまだまだなじみのない国、BiHへの観光客が増えるといいなと思いつつ、地味に情報発信中
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